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横浜地方裁判所 昭和58年(わ)1953号 判決

裁判所書記官

草間五郎

本店所在地

神奈川県平塚市夕陽ケ丘三番二三号

商号

株式会社サンユー給食

右代表者代表取締役

三沢友重

本籍

神奈川県高座郡寒川町一之宮一三一六番地

住居

右同

会社役員

三沢友重

大正一五年一〇月一九日生

右株式会社サンユー給食及び三澤友重に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は検察官奥村丈二出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

一  被告人株式会社サンユー給食を罰金二、二〇〇万円に処する。

二  被告人三澤友重を懲役一年二月に処する。

同被告人に対し、この裁判が確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社サンユー給食は、神奈川県平塚市夕陽ケ丘三番二三号に本店を置き、社員食堂の受託経営を目的とする株式会社であり、被告人三澤友重は、同会社の代表者代表取締役として同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人三澤友重は、同会社の業務に関し、法人税を免れることを企て、架空の給与、賞与を計上して簿外現金として蓄積するなどの不正な方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五四年一〇月一日から同五五年九月三〇日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が六、五九三万四、四三三円で、これに対する法人税額が二、五五三万三、六〇〇円であるのにかかわらず、同五五年一二月一日、同市松風町二番三〇号所在の所轄平塚税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、〇〇一万八、〇六八円で、これに対する法人税額が三一六万七、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税二、二三六万六、四〇〇円を免れた

第二  昭和五五年一〇月一日から同五六年九月三〇日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が九、〇三六万九二九円で、これに対する法人税額が三、六九八万四、八〇〇円であるのにかかわらず、同五六年一一月三〇日、前記平塚税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一、三六四万一、一七六円で、これに対する法人税額が四七六万二、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税三、二二二万二、〇〇〇円を免れた

第三  昭和五六年一〇月一日から同五七年九月三〇日までの事業年度における同会社の実際の所得金額が五、九六四万五、八五七円で、これに対する法人税額が二、四〇六万五、七〇〇円であるのにかかわらず、同五七年一一月三〇日、前記平塚税務署において同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二、一七〇万八、六一六円で、これに対する法人税額が八一三万二、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、法人税一、五九三万三、五〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人三澤友重の当公判廷における供述

一  同被告人の検察官に対する供述調書

一  同被告人の収税官吏に対する質問てん末書三通

一  国枝摩耶子の検察官に対する供述調書

一  国枝摩耶子(四通)、真壁静江及び古井勇(二通)の収税官吏に対する各質問てん末書

一  収税官吏作成の告発書

一  登記簿謄本

判示第一の事実につき

一  収税官吏作成の脱税額計算書及び法人税額計算書(各昭和五四年一〇月一日から昭和五五年九月三〇日分)

一  押収してある法人税確定申告書一袋(右同)(昭和五八年押第五八四号の1)

判示第二の事実につき

一  収税官吏作成の脱税額計算書及び法人税額計算書(各昭和五五年一〇月一日から昭和五六年九月三〇日分)

一  押収してある法人税確定申告書一袋(右同)(前同押号の2)

判示第三の事実につき

一  収税官吏作成の脱税額計算書及び法人税額計算書(各昭和五六年一〇月一日から昭和五七年九月三〇日分)

一  押収してある法人税確定申告書一袋(右同)(前同押号の3)

(法令の適用)

被告人株式会社サンユー給食(以下サンユー給食という。)及び被告人三澤友重の判示第一の各所為はいずれも行為時においては昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の法人税法一五九条一項(被告人サンユー給食に関し更に同法一六四条一項)に、裁判時においては右改正後の法人税法一五九条一項(被告人サンユー給食に関し更に同法一六四条一項)に、判示第二及び第三の各所為はいずれも右改正後の法人税法一五九条一項(被告人サンユー給食に関し更に同法一六四条一項)にそれぞれ該当するが、右判示第一の各所為は被告人サンユー給食に関しては犯罪後に法律の変更があったが刑に変更がない場合であるから行為時法によることとし、被告人三沢友重に関しては犯罪後の法律により刑の変更があったときにあたるから刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑によることとし、被告人サンユー給食の右各罰金刑に関しいずれも各情状により法人税法一五九条二項を適用することとし、被告人三澤友重に関し各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は各刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人サンユー給食の罰金刑については刑法四八条二項により右各罪所定の罰金額を合算し、その所定金額の範囲内で同被告人会社を罰金二、二〇〇万円に処し、被告人三澤友重の懲役刑については同法四七条本文、一〇条により刑期及び犯情の最も重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年二月に処し、同被告人に対し情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右の刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する

(裁判官 上原吉勝)

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